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キックオフイベントが8月20日に開催されました

新事業発掘プロジェクト「GEMStartup TOKYO」キックオフイベントを開催
8月20日、会場・オンライン合わせ約200名が参加。

2025年度の新規事業支援、いよいよ本格始動

東京都は8月20日(水)、新事業発掘プロジェクト「GEMStartup TOKYO」のキックオフイベントをTokyo Innovation Baseにて開催した。大企業等民間企業に眠るノウハウやアイデアを掘り起こし、起業や新規事業創出へとつなげることを目的とした本プロジェクトは、都内のビジネスパーソンやスタートアップ関係者から注目を集めている。
当日は会場とオンラインを合わせて約200名が参加。登壇者の講演やパネルディスカッション、交流会を通じて「固定概念を捨て、挑戦する姿勢を持つことの大切さ」が共有され、会場は熱気に包まれた。

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基調講演 ― 「アントレプレナーシップをもって踏み出そう」

武蔵野大学アントレプレナーシップ学部長であり、Musashino Valley代表の伊藤羊一氏は「アントレプレナーシップをもって踏み出そう」と題した講演で、挑戦の価値を熱く語った。伊藤氏は冒頭、「インターネットエブリシングの時代に入り、これまで『できない』と思われていたことが次々と実現できるようになってきた。だからこそ“やるしかない”」と強調。参加者に対して「テクノロジーは、皆さんの心にある夢を叶える道具。正解を探すよりも、まずはやりたいことに挑み、失敗を恐れず進むことが新しい価値を生み出す原動力だ」と語りかけた。さらに、スティーブ・ジョブズの「本能と直感に従え」という言葉を引用しつつ、「経験は必ず活きる。まずは刺激を受け、自分で考え、それを仲間と語り、やってみる。この繰り返しで人は目覚める」と説いた。アンケートでも「熱い!危機感が伝わり、わくわくするような事業企画をつくりたくなった」「体系立った説明で腹落ちした」「ビジョンが見え、前向きな気持ちになれた」など前向きな声が数多く寄せられた。また、普段なかなか聞くことのできない実務経験に基づくリアルな話に触れ、「モチベーションが大きく高まった」「新しい視点を持ち帰ることができた」といったコメントも見られ、参加者の心に強く響いていた。

パネルディスカッション ― 「新事業創出のリアル」

続くパネルディスカッションでは、「社内起業とカーブアウト、それぞれの可能性と選択肢」をテーマに、3名の実践者が登壇。株式会社AgriweBの長堀俊允氏、株式会社竹中工務店の藤井康平氏、株式会社hootfolioの笠原健太氏がそれぞれの体験を披露し、ファシリテーターはシリコンバレーベンチャーズの森若幸次郎氏が務めた。
長堀氏は「事業を始めた頃は不安もあったが、進めていくうちに周囲から『面白いね』という声をもらえた。結果がどうであれ、挑戦そのものが経験になる」と振り返り、参加者に「数字だけでなく人に興味を持ち、ニーズとニーズをつなげることが事業を大きくする」と助言した。
藤井氏は「キャリアビジョンを気にすると、周囲に忖度してやりたいことを曲げてしまう。だからこそ、自分は夢だけを追いかけている」と語り、「やりたい人にやらせることが新規事業立ち上げの鍵。苦労は多いが、自ら手を挙げて責任を持ってやる人が成果を出せる」と現場目線のリアルを伝えた。
笠原氏は「大企業にとどまってリスクをとらないこと自体がリスク。結果がどうであれ挑戦は必ず次に活きる」と強調。「やりたいことがあるのに環境や不安で踏み出せないのはもったいない。企業全体で支援を活用し、盛り上げることが重要だ」と訴えた。
森若氏は議論をまとめ、「日本を守るためにはグローバル化が必要。遊びの時間を作り、世界に飛び出すことで危機感を持てる。やりたい人がやる、それを企業内が支える。東京都にはその機運がある」と会場を鼓舞した。アンケートでもパネルディスカッションは高評価で、約9割が「満足」または「やや満足」と回答。「パネラーの立場や経緯が異なり、多角的な視点を得られた」「高いモチベーションに刺激を受けた」との声が並んだ。一方で「もっと具体的な事例を聞きたかった」「議論が浅く感じた」といった意見もあり、次回以降のテーマ設定や深掘りへの期待が寄せられている。挑戦者の生の声と会場の熱気が交錯したこのセッションは、参加者のマインドセットを揺さぶり、「自分も動き出さなければ」という強い意欲を引き出す時間となった。

新しい出会いと交流の場

講演・パネルディスカッション後に設けられた交流会では、参加者同士が立場を超えて意見交換を行い、実際に新たなつながりが数多く生まれた。
イベント後のアンケートでも「学びが多かった」「登壇者とも直接話すことができた」といった前向きな声が多く聞かれ、ネットワーク形成の効果が示された。

最後に

新規事業に対する意識が大きく高まった今回のキックオフイベント。登壇者の熱意と参加者同士の交流が相乗効果を生み、東京都が掲げる「大企業に眠る次世代ビジネスの原石を磨く」というビジョンの実現に向けた第一歩となった。
今後のプログラムを通じ、どのような新規事業が生まれ、どのように社会へインパクトを与えていくのか。新しい関係と行動が、少し先の東京の景色を変えていくはずだ。

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